Audio Stop 222
Florentine 16th Century, probably after a model by Andrea del Verrocchio and Orsino Benintendi
Lorenzo de' Medici, possibly 1513/1520
West Building, Main Floor — Gallery 7
文字起こし
フィレンツェ、16世紀、おそらくアンドレア・デル・ヴェロッキオとオルシーノ・ベニテンディのモデルによる、ロレンツォ・デ・メディチ、1513/1520年頃
ナレーター:
この胸像は、イタリアの都市国家フィレンツェの支配者ロレンツォ・デ・メディチのものです。彼は、1400年代後半のヨーロッパで最も力ある支配者の一人でした。
シェリー・スターマン:
私はシェリー・スターマン、当館の修復部門の主任修復士です。
ロレンツォを描いた絵をみると、彼が非常に特徴的な顔をもっていたことが分かります。寄せられた眉、突き出た下顎、そしてとても大きな鼻などです。そのすべてが、この胸像では見事にとらえられています。彼は静かにあなたを見下ろしています。その顔に浮かんでいるのは、しかめ面ではないものの、笑みでもありません。威厳に満ちた雰囲気を醸し出しています。彼の力が感じられます。彼が、起きていることをすべて把握しているのが分かります。彼は自分の内面を探っているのです。
ナレーター:
粘土またはテラコッタに彩色を施したこの胸像は、以前はずっと暗い色調を持っていました。修復チームは、近年においてかけられた、うわぐすりの下を調査しました。
シェリー・スターマン:
制作当初の、明るく彩色された層のすぐ上に、汚れの層が重なっていることに、私たちは気づきました。また頬と顎には無精ひげが表現されていました。目には、絵の具が細かく施されていました。暗い色の服は、濃い赤紫色であることが分かりました。そして帽子は、鮮やかな深い赤だったのです。
ナレーター:
こうしたディテールのおかげで、ロレンツォの姿はまるで生きているように見えます。彼の死後、その息子はこの胸像を見て、もしかしたら涙にくれたのかもしれません。
シェリー・スターマン:
彼の目をのぞき込めば、この場に彼が存在することが感じられるでしょう。単なる粘土の像というよりも、生きている人のように見えます。当時の人がどんな姿をしていたか、どんな服を着ていたか、どう行動していたかが、感じられるでしょう。そして隣に座り、当時の生活について、また彼がどんなことをしたのか、もう少し知りたいと感じるに違いありません。
彫刻は、過去を知り、歴史的人物の中に自分を投影するのに、とても役に立つと思います。