Audio Stop 215
Bartolomé Esteban Murillo
Two Women at a Window, c. 1655/1660
West Building, Main Floor — Gallery 34
文字起こし
ムリーリョ、窓際の二人の女性、1655/1660年頃
ストラウスマン=フランザー:
私はイブ・ストラウスマン=フランザー、当館のイタリアとスペイン絵画部門の主任学芸員です。 [ここには、開いた窓際にいる、異なる年齢の二人の女性がいます。一人は若く、一人はより年配です。
ナレーター:
スペインの画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1660年頃に描いたこの光景は、謎に満ちています。
ストラウスマン=フランザー:
この二人の女性はなぜ、窓際にいるのでしょうか? 二人はいったい誰でしょうか? 答えは分かりません。でも、この作品を鑑賞するための興味深い方法がいくつかあります。
ナレーター:
年配の女性は、外の何かを滑稽に感じているのを、口にショールをあてて隠しているようです。もうひとりの女性も笑みを浮かべています。
ストラウスマン=フランザー:
当時、社会の一定の階級の女性が、公共の場で笑ったり大きな笑みを浮かべたりするのは、好ましくないと考えられていました。もちろん、誰に見せるためにこの絵が描かれたのか、考えなければなりません。この女性は、誰に向かって笑みを浮かべているのでしょうか? 正直なところ、まったく分からないのです。
ナレーター:
右側の女性は気取った笑みを浮かべ、まっすぐこちらを見つめていることから、彼女は娼婦で、次のお客に流し目を送っているのだとする解釈もあります。一方で、彼女は上流階級の娘で、付添の女性の目を盗んで、はしゃいだ一瞬を見せている可能性もあります。彼女たちは、見つめられていることに気づいているでしょうか?それとも、誰にも見られていないつもりでしょうか? このあいまいさも、作品の魅力の一部なのです。
ストラウスマン=フランザー:
この女性たちの自由さや親しみやすさは、とても魅力的だと思います。たとえ当時は適切ではないと思われていたとしても、現代の鑑賞者から見ると、この絵には本能的になにかとてもわくわくさせられ、心をとらえるものがあります。