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On Saturday, April 5, and Sunday, April 6, access to the National Gallery of Art may be affected by the Credit Union Cherry Blossom 5K and 10 mile. We recommend taking public transportation and giving yourself extra time.

Audio Stop 202

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A naked man with ghostly white skin sits upright in a canopied bed set in a narrow room in this tall, vertical painting. Wearing a black cap, he looks to our left in profile toward a skeleton who comes through a door along the left edge of the composition. The man gestures at the skeleton with one hand and, with the other, toward a bag of money held up by a small demon next to the bed to our left. The skeleton wears a white shroud and holds an arrow. A winged angel kneels next to the man in the bed, one hand on the man’s shoulder and the other lifted to gesture at a crucifix hanging in the window over the door. A small devil on the canopy above looks down onto the bed. At the foot of the bed, a man wearing a green robe and headdress drops coins into a sack held by another demon. Three more demons crawl about and hide under the chest. Pieces of armor and weapons lie on the ground to the right in front of a stone ledge in the foreground. Two pieces of clothing drape over the ledge to our left.

Hieronymus Bosch

Death and the Miser, c. 1485/1490

West Building, Main Floor — Gallery 41

文字起こし

ヒエロニムス・ボス、死と悲惨さ、1485/1490年頃

ナレーター:
ヒエロニムス・ボスのこの不穏な作品が示すのは、古典的な教訓です。ナショナル・ギャラリー・オブ・アート館長のケイウィン・フェルドマンです。

ケイウィン・フェルドマン:
この物語では、死神が吝嗇な病人に近づいています。実のところ、死神は、まるで不気味なルームサービスのように、ドアの向こうから部屋の中をのぞき込んでいます。そして病人に、この世を去る時がきたと告げているのです。小さな悪霊が金貨の入った袋をさしだし、一方、天使は十字架を見上げて、病人が神を想い、罪深い生き方をやめるようにうながしています。

ナレーター:
緑色の服を着た人物は、病気になる前のこの人物です。彼が貪欲そうに金貨の数を数えている近くで、ネズミの顔をした悪霊は金貸しの証文をつかんでいます。

映像作家ジェム・コーエンです。

ジェム・コーエン:
映画でのフラッシュバックに相当するものは、絵画では何でしょうか。それは同じ物語で、別の時間の出来事を絵に描き込むことによって、見る者が両方を行ったり来たりできるようにすることなのです。ここでは、悪霊がすでに箱の中にいて、死すべき人間が永遠に所有できないもの、つまり富を我が物にしようとしています。つまり「あの世に持っていけない」ことを示すこの作品は、今とはまったく時代に描かれたとはいえ、現在にもあてはまるのです。現代なら、これらの袋を満たしているのは株券や債権、ビットコインかもしれません。でも強欲は強欲であり、独占は独占なので、このメッセージは時を超越しているのです。

ナレーター:
ボスの作品によく登場する悪霊はあちこちにいて、信じられないほどアイデア豊かに行動しています。

ジェム・コーエン:
カーテンの下にいる悪霊は、ホラー映画などに登場する怪物にそっくりで、ボスが民間伝説に通じていたことをよく示しています。

ケイウィン・フェルドマン:
病人の後ろに天使がいて、片手を病人の肩に置き、反対側の手で、窓を指差しています。そこには十字架があり、光が部屋に差し込んでいます。これは病人が自分の生き方を改めるべき、決定的な瞬間なのです。

ナレーター:
ボスのこの作品については、私たちのまだ知らないことがたくさんあります。もしかしたらこれは、善と悪の対立を示す祭壇画の一部だったのかもしれません。答えのない疑問がまだまだ残されているのです。赤外線撮像の結果、この物語がどう終わるか、ボス自身にも分かっていなかったことが判明しました。

ケイウィン・フェルドマン:
最初ボスが描いたのは、小さな悪霊に差し出された金貨の袋を病人がつかみ、反対側の手では銀の聖杯を持っている、というものでした。最終的に彼の気が変わったようです。そんなわけで、病人がどんな決断を下すのか、私たちには分からないのです。

ボスが時を超越していると私が思うのは、彼の作品がまるで鏡のように、人類がどんな姿をしているか、私たちに見せてくれているからなのです。そして彼の優れているところは、その作品が、500年前に彼が描いた時と同じくらい、私たちにとっても重要な意味を持ち、滑稽で、身にしみることなのです。
 

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